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  • 執筆者の写真Roca Misaki

「摩天楼に降る涙」というイベント(2)

 (1)は摩天楼が大変に素晴らしいという話だけで終わってしまい、何がどう素晴らしいのかをまだ語っていなかったので、ここからはその具体的な内容について。ややネタバレも含むのでご注意ください。

 まず何より素晴らしいのは両覚醒の立ち絵。

 最初に月覚醒が発表された時の私の心境は、それはもう一言でいえば「ぐちゃぐちゃ」だった。私だって前髪を上げていないカミロさんを、一度は見てみたいとは思っていた。普段着っぽい軽装の姿も、見てみたかった。けれどまさかそこに「雨で濡れたシャツ」や「涙のように見える雨のしずく」というとんでもないものが盛られてやってくるなんてことは、期待の範疇外だった。

 実のところそういう類のものは自分の妄想の中だけにあれば十分だと思っていたので、公式がそれを供給してくれるとなると純粋な喜びとは違う……だけど決してイヤというわけでもない、どう言っていいのかわからない何かがひたすら頭の中を渦巻くばかりだ。

 ……と、そんな精神状態のままお知らせ画面と現実世界を往復し続けた2時間のあとに、突然降ってきたのが太陽覚醒の立ち絵の発表だった。

 それは「天使モチーフのキャラ」という基本のど真ん中を押さえながら、かつこれまでに見たことなかったカミロさんの「相」だった。

 きらきらと輝く雨上がりの空の下、こちらを振り向いている姿。背中を向けているためによく見える翼と恒常月覚醒以来のあの頭上の光輪のせいもあって、もともとのコンセプトである「大天使」のイメージが強く前面に出てきた。このまま姫や私たちの手の届かない世界へ飛び立ってしまいそうな神々しささえ感じさせた。だからきれいだけど、どこか寂しい。そんな第一印象だった。

 それをさらに際立たせたのが、あの表情。こんな表情、これまでのカミロさんならしなかった。でもそれが奇をてらった感じではなく、すごく自然に、カミロさんは恋をして、本当の意味で大人の男性になって、そしてこういう表情をするようになったんだと、(大きな感慨とともに)受け入れることができる説得力を持っていた。

 ああ、すごく好きだ。

 とはいえ、これが決して哀しい絵ではなかったことは、彼をつついてみればわかる。

 詳細画面で摩天楼カミロさんをつんつんした時、少し笑顔になった彼が言ってくれるセリフは、以下の通り(ネタバレご注意!)



『もう寂しくはないだろう? 俺はここにいる。オマエの傍にずっと…これからも。』


 カミロさんは、どこにも行かなかった!

 それどころかずっと、「ここ」にいてくれると言うのだ。あの表情は手の届かないところから見つめる顔じゃなかった。たまらなく愛しいものを、自分の手の中でじっくりと慈しむ、その顔だったんだ。

 こんなに神聖で、こんなに尊い姿になったカミロさんは、だけど決して不可侵なものではない。ちゃんとひとりの人間の男の人として、傍にいてくれるんだよ。ありがとう、ありがとう……。


 ……収拾がつかなくなってきたのでさくっと月覚醒の話に進む。

 『摩天楼』の覚醒後は、太陽と月が対になってこそ意味がある。私は強くそう思う。(1)で書いた、私が涙を流すほどの感慨に撃たれたのも、この両方の姿を見たときだった。余談だが、それゆえにこの覚醒後の絵柄のトレーディング缶バッジも、私は両方を同数にすることに私は強くこだわった(おかげさまで今はちょうど同数になってます)。

 太陽覚醒がどこか神聖で不可侵な、高みにいるような彼の姿であるとすれば、月覚醒の方向性はそのまったく逆。普段のクラシカルでフォーマルな雰囲気とはうってかわった、ノーネクタイで白いシャツ1枚だけのラフな服装(それでもものすごく育ちの良さそうな空気はダダ洩れであるが)に、いつになくカジュアルなアクセサリー類、そして雨に濡れたせいで自然な雰囲気に落ちてきてしまった前髪。隠しきれない坊ちゃんっぽさと真面目っぽさはそのままに、けれどもかなり等身大の、29歳の男性の姿である。

 もはや、背中にあるその白い翼の方がむしろ不釣り合いに見えるほどに。


 これは単なる私の妄想なのだけど、ストーリー内で触れられる(少なくともカミロさんの王子ストーリー世界線の)かつてダテンの女性と許されぬ恋をしたというアルビトロの男性は、もしかしたらこの月覚醒のカミロさんによく似ていたのではないだろうか……。そんな気がしている。


 摩天楼カミロさんは未覚醒の衣装がおそらく「雨の祈り」の式典のための服装だと思うのだが、あれも好き。いつものあのアクアマリンっぽい宝石が、雨のしずくの形のアクセサリーになってるのがすごくかわいい。私はかねてからカミロさんにはグレーも似合いそうだと思っていたので、ブルーグレイを基調にした衣装すごくよかった。これは雨の色なのかな。


 あと、率直に言って摩天楼さんは、3バージョンとも顔がすごく好き。

 私が仮にこれまでのカミロさんを全然知らなかったとして、どこかでこの摩天楼カミロさんの両覚醒の顔を目にしたとしたら、多分それだけでもこのキャラクターのためにこのゲームを始めようと思っただろうという確信がある。それくらい好きだ。

 上手く言えないのだけど、前にここにも書いた通り、カミロさんは恒常の頃から間違いなく私の好きな見た目だった。とはいえ、それが「最高に好きなキャラ」というところまで結びつくにはもう少しどんな人かを知らなければならなかった。

 一方で、その2年半後に登場した摩天楼カミロさんは、それだけで確実に私が最高に好きだと思う男の人の顔をしているのだ。私の中の「好きな男性」のイメージと、運営さんの中の「カミロ王子」のイメージが双方でどんどん一致に向かっていったような、そんな感じがする。

 これ、他の王子推しの方も同様のことを言っていたのを聞いたことがある。不思議なことだけど、あらゆるオタク女性たちの中には作り手、受け手を問わず共通するそういう集合的無意識のような男性像のイメージというものがあるかもしれない。


 ……と、(2)も立ち絵の話だけでこの長さになってしまったのでまた続きます。

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