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執筆者の写真Roca Misaki

カミロ王子『The Endless Sky』ver.について

お迎えから10日あまりが過ぎて、ようやく少しまとまった感想のようなものが出てきたのでこちらに記します。

★★例によってネタバレ配慮なく語っておりますので、未読やこれからお迎えしたいとお考えの方はご注意ください!★★


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 まず全体的なこと。

 今回の王子ストーリーは、太陽覚醒と月覚醒で大筋にはあまり違いがなかった。同じ「ミッション達成」の場面そのものを、より劇的な演出によって描いたのが太陽で、むしろ達成後の描写に重点を置いたのが月といった感じ。

 いずれにしても、こういう姫とカミロさんが二人でともに「冒険」的なミッションへと赴くタイプのストーリーは初めてのことだったので、わたくし大歓喜。そしてすごく特徴的だと思ったのは、例えばこれまでの『摩天楼に降る涙』や『光へ向かう気高き翼』のような、新たな一面だったりこれまで知らなかった情報を知るような描写はほとんどなかったこと。だからと言って決して「物足りない」ことにはなっていない。それがこの『The Endless Sky』ver.(以下ES)の素晴らしい点だと思った。


 ならばこのストーリーの収穫と満足度の高さはどこからくるのか。それはカミロさんが幾度となく自分自身の口から、王子として、ひとりの男性として──そして今では「トロイメアの姫の恋人」として──これまでどんな信念と覚悟で生きてきたか、あるいはこれから生きていこうとしているかという、その心構えや覚悟を語っていること。そこに尽きると思う。

 また描かれる姫との関係も、ただ個人間の好意だけではない。姫は同じ一国のリーダーという立場にある者として、自分よりもずっと長い時間それを自覚して生きてきた「カミロ王子」の言動から、様々なことを感じ取り学んでゆく。そういうやりとりが全話にわたって丁寧に示されたことが、個人的にはとても好印象で嬉しかった。彼らは恋人同士というだけではなく、夢世界の君主としての経験における、いわば先輩と後輩のような関係でもある。そういう態度で接している場面が、繰り返し描かれている。それがこれまでのストーリーとは少し違う、ESカミロ王子ストーリーの特徴だったと思うのだ。

 そしてそういう会話の中でカミロさんは、「自分だって不安がないわけではない」、「恐れを抱かないことだけが勇敢さではない」と、姫の抱く素直な感情を決して否定せず、「強気であることだけではない強さ」のあり方を説いてくる。これによって私たちは彼ら二人の、カップルとしてだけでなく同志あるいはチームとしての相性の良さや、築きあげてきた信頼関係の成果を見ることができる。その感じが、何とも言えず清々しいと思った。だから私はこのお話が好きだ。


 そしてここからは覚醒後について。

 先述のように今回の話は大筋の展開は太陽も月も大きくは変わらないが、それだけにそれぞれのストーリーが重点としたものが何であるかの違いが分かりやすい。ざっくりまとめるなら、太陽は「ともに苦難を乗り越える覚悟と責任」で、月は「取り戻したその先の日常」かな。この点においては夢100の覚醒システムの根本にある「太陽=王子としてのパブリックな面」「月=一人の男性としてのパーソナルな面」という基本にも忠実な分岐だと言える。

 そんなわけで、繰り返しになるけれど太陽覚醒はとにかく、今回の二人のミッション達成の場面が非常に劇的な演出やスチルによって描き出されていてすばらしかった。スチルの姫が、戸惑いや照れではなくとても清々しい笑顔でカミロさんを見つめているのも良かった。

 一方の月は、これまた穏やかで幸福な最終話の空気がとてもよかった。こっちもまたスチルが可愛いの。ああ、これこそがカミロ主のカミロさんと姫だなあ……という感じ。さらにネタバレをしてしまうと、月はシークレットストーリーでほんの少しだけ、まさに平和な「日常」へと戻ったアルビトロでの彼らの場面が追加されている。これが本当に「めでたしめでたし」という雰囲気で……。


 今回の両覚醒のスチルやその前後の場面もそうなのだけど、これまでの限定を含めて全体的に、カミロさんの王子ストにおける姫は割と積極的なところが可愛くて好き。強引過ぎず奥手過ぎず、この真面目な王子様を「その気」にさせるのにちょうどいいバランスをすごくうまく保ってると思う。なんだろうなあ、なんだかほどよく彼の保護欲をくすぐりつつも品位を損なわない、絶妙の「一途な肉食女子感」を持っているというか。カミロさん自身も、真面目ではあっても決して草食系ではないというその部分とすごくうまく駆け引きできるちょうどいいバランス。


 そんなこんなで今回は、これまでのカミロ主の集大成のようでもあり、公式さんのカミロ主を信じていいんだ!という安心感を与えてくれるような、そんな満足感があった。『摩天楼』の時のように心がぶんぶん揺さぶられる感じとは、少し違う。でもすごく満足。

 あまりに大団円というか集大成すぎて最終回のような雰囲気さえあるのだけど、それが寂しくないというか……この先に続く素晴らしい展開を信じることができるし、仮に本当にここで終わってもそれでよかったと思えるような(もちろん終わってほしくないけど)。

 あまりに「特別な」状況で登場したカミロさんの、その特別さに相応しい素敵なお話。二年以上待った甲斐は、十分にあったね。



 ……以上、現時点での想いを書いてみました。ESカミロさんありがとう!

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