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  • 執筆者の写真Roca Misaki

「摩天楼に降る涙」というイベント(5)

 新刊制作のため放置状態になっていた摩天楼語り。これでひとまず最後にします。


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 繰り返しになるが、『摩天楼に降る涙』は、コンセプト、王子ストーリー、立ち絵等々あらゆる点で「カミロ推し」としての私にとって最高のイベントだった。

 最後に、個別の立ち絵や王子スト以外の部分ですばらしかった点への所感をまとめておきたい。

 まず触れたいのは、システム面。

 前にも書いたように、私は最愛の王子はガチャでお迎えしたい派である。だから最初、☆5とはいえ報酬としての登場だったことにちょっとだけ落胆をおぼえずにはいられなかった。

 ……いや、落胆というか恐怖か。時間と労力さえつぎ込めば際限なくどんどんカミロさんをお迎えできる。そんな誘惑に私が勝てるはずがない。つまり報酬で登場するということは、期間中ずっと、空いた時間のすべてをこのイベントに奪われてしまうということである。それどころか仕事中も、移動中も、食事中も……眠ろうとしている時さえ、「こうしている間にもスマホさえ開けば一人でも多くのカミロさんをお迎えできるのに!」という強迫観念にイベント期間中ずっと苛まれなければならない。その恐怖だ。

 だがいざ蓋を開けてみれば、そんな報酬ゆえの苦悩を補って余りある喜びが、このイベントシステムにはあった。


 『摩天楼』は、今ではサブイベントのみになってしまったミッション形式のイベントだった。私はこのミッションイベというものがすごく好きである。嫌いという人も多く、だからサブイベ扱いになってしまったのだと思う。でも私は好きだったのだ。だからその形式のイベントだったことがまず嬉しかった。おかげで飽きることなく報酬を求めて走り回れた。

 そのミッションイベ形式ゆえの制約として、☆5の報酬王子のお迎えは4日目まで解禁されず、イベント開始からの3日間はどんなに頑張っても新しいカミロさんに会うことはできなかった。周囲のフォロワーさんからは「焦らされて可哀想に」みたいなことを言われたのだが、正直に言えば私はまったくそんなことは気にならなかったのである。

 私にとっていちばん辛いのは、いつ来るかわからないものを待ち続けること。数日後に必ず来ると分かっているものを待つのは、苦痛ではない。それどころか、それまでたっぷり準備しておくことができる。だから全然イヤじゃなかった。さらにはこの、最後まで解放されない報酬という実質「このイベントのラスボス」的扱いに、私は大いに満足した。カミロさんもついにそんな扱いをされるところまできたのだと、感慨深かった。

 加えてこのイベント形式ではイベントストーリーも1日1話ずつしか解放されず、また4日目にカミロさんを解放できても覚醒妖精が一方分しか出てこないため、もう一方の覚醒は翌日までお預けだった。この「小出し感」も、私は嫌いではなかった。おかげで初日に一気に全部味わって満腹になることなく、期間中ずっと楽しめていた。前半は一日ごとに少しずつ開かれてゆく新しい推しの姿を毎日楽しめたし、後半はひたすら一人でも多くの推しを迎えることに集中できた。そうしてイベントを終える時には、私は全部で122人の摩天楼カミロさんをお迎えしていた。偶発的なドロップが一切なく、かつ二倍タイムなどもないミッションイベントにしては多く集められた方だと思うのだが、他の人と比べたことがないのでそれは何とも言えない。とにかく私は満足した。二倍および確定タイムがないというのも、いつでも無駄なく走れるという点でむしろいい方に働いたと思う。

 あとひとつ、これだけは掛け値なしに誇りたいこと。

 私は澄快のこともとても好きである。最初に選んだ☆3王子は彼だったし、夢100を始めてしばらくは彼のためにこのゲームをやっていた。それくらい思い入れのあるキャラ(なので今の最推しとの共演はものすごく嬉しかった)ゆえに、カミロさんのために澄快のお迎えを犠牲にすることだけは、絶対にしたくなかった。だから澄快も10人お迎えしたうえでのこの数字だ。そこを含めて、私はこの結果に大いに満足できた。

 このように、私は澄快というキャラとダテンという土地にもすごく愛着がある。だから摩天楼イベは本当に特別なものだった。まさか、あの街に最推しの王子がやってくる日が来るとは思ってもみなかった。一見、神聖なアルビトロの王子たちにはあまりに不釣合いに見える舞台。その倒錯感さえも計算されたイベントコンセプトだったと思う。もしかして、真琴君の登場イベントの名前が「天使の微笑み?」だったのも、そして国の名前が「堕天」を思わせる音を持っているのも、すべてはこのイベントにつながる伏線だったのだろうか。

 「ある時突然、約束されていた将来を奪われた優秀な王子」というルシアンと真琴君の過去の共通点。そして彼らを見守るお兄さんのようであり、時に世話を焼くお母さんのようでもある、カミロさんと澄快のキャラクター的類似性(これに関してはイベント内でも指摘される場面があった)。そして太陽覚醒は四人ともに「アルビトロ(=天の世界の人)感」が強く、月覚醒は逆に全員「ダテン(=地上の普通の青年)感」の強い姿になった彼らの覚醒立ち絵。そういったものがすべてがっちり噛み合った感じ。こんなイベントが他にあっただろうか。

 そうしてひと時の時間を共有した彼らは、互いの事情に関しては何も語ることのないまま、素性も連絡先も知らずに別れたのだろう。そう思わせるイベントの幕の下ろし方までが、なんとも心地よかった。あるいは薄々わかっていたとしても、本当にすべてを知っているのは傍観者だった姫と、彼女と同じ視点に重ねられた私たちプレイヤーだけ。

 この四人以上でも以下でも出せなかった、絶妙の空気感だったと思う。

 本当に、こんなものを見せてくれてありがとう。



 ……「摩天楼」のことを語るといつまでも止まらないのだけど、きりがないのでこのくらいにしたいと思います。最低限、言いたいことは言えたかな。

 これを見られた今となっては、もうなにも悔いはないです。もちろん、もっとすごいものが見られるなら見たい。でも見られなくてもかまわない。二年以上が経った今でも、私にとってそれくらい大きな存在。

 このイベントを作り出してくださったすべてのスタッフさんと演者さんたちに感謝です。

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